インターンシップは採用に関係する?三省合意のタイプ1〜4と、学生情報が採用に使える条件
結論(先に3行で)
- 文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「三省合意」(令和4年6月13日改正)で、学生のキャリア形成支援の取組はタイプ1〜4に分けられました。「インターンシップ」と呼べるのは、就業体験を必ず含むタイプ3とタイプ4です。
- タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)は、就業体験が期間の半分超、社員の指導とフィードバック、汎用的能力活用型は5日以上・専門活用型は2週間以上、卒業・修了前年度以降の長期休暇中、などの要件があります。
- 要件を満たすタイプ3で企業が得た学生情報は、広報活動(3年次の3月以降)・採用選考活動(4年次の6月以降)の開始後に限って使えます。1日だけのオープン・カンパニーで得た情報は、採用活動に使わないよう求められています。
この記事でやること:参加したいプログラムの募集要項で「日数」「就業体験の有無」「学生情報を採用活動に使う旨の記載」を確認 → タイプを見分ける → 学業と重ならない長期休暇のものを選ぶ。
三省合意とは?いつ変わった?
三省合意は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が示している「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」のことです。令和4年6月13日に改正され、合意本文と厚生労働省の概要資料によると、令和5年度に参加するインターンシップ(令和7年3月卒業・修了予定の学生、学部生なら令和5年度に3年生になった学生)から新しい取扱いが始まりました。28卒の人は、この新しい取扱いのもとで就活をすることになります。
改正の大きな点は、これまで「インターンシップ」とひとまとめに呼ばれていた取組を4つのタイプに分け、一定の要件を満たすインターンシップで企業が得た学生情報を、採用活動に使えるようにしたことです。
タイプ1〜4はどう違う?
| タイプ | 名称 | 就業体験 | 期間 | 学生情報の採用活動への活用 |
|---|---|---|---|---|
| タイプ1 | オープン・カンパニー | 必須ではない | (合意本文・概要資料に日数の要件なし) | 使えない |
| タイプ2 | キャリア教育 | 必須ではない | (同上) | 使えない |
| タイプ3 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 必須 | 汎用的能力活用型 5日以上/専門活用型 2週間以上 | 要件を満たせば、広報・選考の開始後に使える |
| タイプ4 | 高度専門型インターンシップ(試行) | 必須 | (合意本文に日数の要件なし) | (合意本文に明示なし) |
概要資料では、タイプ1・2は「インターンシップ」とは呼ばず、個社・業界の情報提供や、教育を目的とする取組とされています。タイプ3・4は「インターンシップ」として実施され、学生が自分の能力を見極めたり、企業が評価材料を得たりすることが目的とされています。
1日だけの会社説明会のようなプログラムは、名前に「インターン」と付いていても、多くはタイプ1のオープン・カンパニーにあたると考えられます。名前ではなく、中身(期間・就業体験の有無)で見分けてください。
タイプ3の要件は?
タイプ3として学生情報を採用活動に使うには、三省合意の別紙で次の要件が示されています。
- 就業体験要件:実施期間の半分を超える日数を、職場での就業体験にあてる
- 指導要件:職場の社員が学生を指導し、学生にフィードバックを行う
- 実施期間要件:汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
- 実施時期要件:大学の正課と博士課程を除き、学部3年・4年または修士1年・2年の長期休暇期間中(夏休み・冬休み・入試休み・春休み)
- 情報開示要件:学生情報を活用する旨などを募集要項等に記載し、ホームページ等で公表する
つまり、募集要項に日数と就業体験の内容、学生情報を採用活動に使う旨が書かれているかどうかが、見分ける手がかりになります。
タイプ3で得た情報は、いつから採用に使える?
三省合意の別紙と概要資料では、タイプ3で企業が得た学生情報を使えるのは、広報活動は3年次の3月以降(企業説明会の案内を送るなど)、採用選考活動は4年次の6月以降(採用選考の一部を免除するなど)とされています。28卒なら、2027年3月以降と2027年6月以降です。
また、概要資料では、タイプ1〜4はどれも採用活動そのものではなく、学生は採用選考の開始時期以降に、あらためてエントリーする必要があるとされています。文部科学省の説明資料も、入社希望先のインターンシップに参加していなくても採用選考へのエントリーはできると書いています。インターンシップに参加しただけで選考が始まるわけではありません。
1日のオープン・カンパニーに参加すると、選考で不利・有利になる?
政府の要請とあわせて示された就職問題懇談会の要請では、企業に対して、オープン・カンパニーやキャリア教育で得た学生情報を採用活動に使わないよう求めています。また、インターンシップは原則として広報活動・採用選考活動そのものではないこと、大学等との連携のもとで、原則として春休みや夏休みなどの長期休業期間に行うことも求めています。
ルールの上では、タイプ1・2への参加の有無が採用選考に使われることはないはずです。ただ、企業がルールどおりに運用しているかを学生が外から確かめることは難しいので、「参加しないと不利」と焦って授業を休むより、興味のある業界・職種を知る機会として選ぶのがおすすめです。
専門活用型インターンシップと選考の例外は?
28卒の日程(広報3月1日・選考6月1日・内定10月1日)には、専門性の高い人材の例外があります。春休み以降に実施される2週間以上の専門活用型インターンシップに参加し、高い専門的知識や能力があると判断された学生は、6月より前に採用選考へ移ることができるとされています。日程の全体は28卒の就活スケジュールを見てください。
インターンシップ中のハラスメントは、どこに相談する?
政府の要請は、企業に対して、採用選考やインターンシップの場でセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに類する行為が起きないよう、社員への周知徹底を求めています。さらに厚生労働省の案内では、令和8年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策(相談体制の整備などの措置)が全ての事業主の義務になりました(改正男女雇用機会均等法)。厚生労働省の学生向けリーフレットは、採用面接・就職説明会・OB・OG訪問と並んで、インターンシップも「求職活動等」の例に挙げています。
就職活動やインターンシップ中のハラスメントの悩みは、都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))や総合労働相談コーナーに相談できると案内されています(匿名での相談も可能)。大学のキャリアセンター・学生相談室にも相談してください。
参加するプログラムは、どう選べばいい?
- 募集要項でタイプ(日数・就業体験・学生情報の扱い)を確認する
- 授業・試験と重ならない長期休暇のものを選ぶ
- 交通費・宿泊費・報酬の有無、オンラインか対面かを確認する
- 参加後に、学んだこと・合わなかったことを1行でメモし、業界・職種選びに使う
数を集めるより、1つ1つで「この仕事は自分に合うか」を確かめるほうが、ESや面接でも話しやすくなります。
インターンシップのあとに「早期選考」の案内が来たら?
インターンシップに参加したあと、企業から説明会や選考の案内が届くことがあります。三省合意の概要資料では、要件を満たすタイプ3で得た学生情報を使えるのは、広報活動は3年次の3月以降、採用選考活動は4年次の6月以降とされています。就職問題懇談会の要請も、企業に対して「早期選考」など採用選考の開始前の選考や、早期の内々定を慎むよう求めています。
案内を受けるかどうかは自分で決めてかまいません。受ける場合も、授業や試験と重ならない日程を相談し、内々定が出ても他社の就活を続けてよいかを確認しておきましょう。
よくある質問
- インターンシップに参加しないと就活で不利?
- 三省合意と就職問題懇談会の要請では、オープン・カンパニー(タイプ1)やキャリア教育(タイプ2)で得た学生情報は採用活動に使わないこととされています。採用に情報を使えるのは要件を満たすタイプ3だけで、それも広報・選考の開始後です。
- 1dayインターンはインターンシップ?
- 三省合意では、就業体験を必須としないオープン・カンパニー(タイプ1)などは「インターンシップ」とは呼ばないとされています。タイプ3のインターンシップは5日以上(専門活用型は2週間以上)です。
- タイプ3かどうかはどう見分ける?
- 募集要項で、日数(5日以上・2週間以上)、期間の半分を超える就業体験、社員の指導・フィードバック、学生情報を採用活動に活用する旨の記載があるかを確認します。
- インターンシップで内定が出ることはある?
- 三省合意ではインターンシップは採用活動そのものではなく、学生は選考の開始時期以降にあらためてエントリーが必要とされています。専門活用型(2週間以上)参加者には6月より前に選考へ進める例外があります。
出典・確認したページ
- 厚生労働省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」改正の概要:タイプ1 オープン・カンパニー、タイプ2 キャリア教育(就業体験は必須でない)、タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ(就業体験が実施期間の半分超、社員の指導とフィードバック、汎用的能力活用型5日以上・専門活用型2週間以上、卒業・修了前年度以降の長期休暇、募集要項に学生情報を活用する旨等を明示)、タイプ4 高度専門型(試行)。タイプ3で得た学生情報は広報活動(3年次3月以降)・採用選考活動(4年次6月以降)の開始後に活用可。令和5年度に参加するインターンシップ(令和7年3月卒業・修了予定者)から(2026-11-03確認)
- 厚生労働省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(三省合意、令和4年6月13日改正):文部科学省・厚生労働省・経済産業省の合意文書(平成9年制定、令和4年6月13日改正)。別紙2:タイプ3の要件(就業体験が実施期間の半分超、社員の指導と終了後のフィードバック、汎用的能力活用型5日間以上・専門活用型2週間以上、学部3・4年/修士1・2年の長期休暇期間〔正課・博士課程を除く〕、募集要項等での情報開示)、タイプ3に限り取得した学生情報を3月以降は広報活動・6月以降は採用選考活動に使用可、タイプ1・2の学生情報は使用不可。キャリア形成支援の取組は就職・採用活動そのものではない。タイプ4(博士課程のジョブ型研究インターンシップは令和3年度から試行)。令和5年度以降の取組から適用(2026-11-03確認)
- 文部科学省 高等教育局 学生支援課「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進について」(令和4年12月15日):タイプ1〜4の名称、タイプ3の要件(就業体験・指導とフィードバック・5日間以上/2週間以上・学部3・4年/修士1・2年の長期休暇期間)、「インターンシップは就職・採用活動そのものではなく、入社希望先でのインターンシップ参加経験がなくても、採用選考へのエントリーは可能」(2026-11-03確認)
- 大阪労働局「令和5年度から大学生等のインターンシップの取り扱いが変わります」:三省合意を令和4年6月13日付けで改正、令和5年度から取扱いが変わる(2026-11-03確認)
- 内閣官房「2027年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」別紙(要請事項):学事日程への配慮(土日・夕方以降・オンライン)、セクハラ・パワハラに類する行為の防止、内定・内々定と引き換えに他社への就職活動の終了を強要する行為(オワハラ)は許されない、保護者の同意を求める「オヤカク」もオワハラに該当し得る、就活エージェント等による強要への注意、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者が新卒枠に応募できるように。就職問題懇談会の要請(三省合意を踏まえたインターンシップ、オープン・カンパニー等で得た学生情報は採用活動に使わない、内々定段階の承諾書・誓約書の要求を慎む 等)、大学等の申合せ(9月30日以前の内々定は学生を拘束しないことを周知)(2026-11-03確認)
- 就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」(令和7年12月26日):2027年度卒業・修了予定者(2028年3月卒)は従来どおり、広報活動 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動 卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日 卒業・修了年度の10月1日以降を原則とする。専門活用型インターンシップ(2週間以上)参加者の例外は従前どおり。2028年度(2029年3月)以降の卒業・修了予定者は見直しの検討を進める。要請は法的に拘束するものではない(2026-11-03確認)
- 内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」:政府から経済団体等への要請(厚生労働省のページで発出日は令和8年3月24日)。日程ルール、専門活用型インターンシップの例外(2026-11-03確認)
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(カスタマーハラスメント・求職者等に対するセクシュアルハラスメント):令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が全ての事業主の義務に(令和7年労働施策総合推進法等の一部改正)。指針は「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第52号)。就職活動やインターンシップ中のハラスメントの相談先は都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))・総合労働相談コーナー(匿名でも可・無料と記載)(2026-11-03確認)
- 厚生労働省 学生向けリーフレット「学生・生徒の皆さまへ 求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」:改正男女雇用機会均等法で令和8年10月1日から施行。求職活動等の例:採用面接、就職説明会、OB・OG訪問、インターンシップ、教育実習・看護実習等の実習(オンライン・SNSを含む)。相談先:事業主の相談窓口、学校のキャリアセンター、都道府県労働局、新卒応援ハローワーク等(2026-11-03確認)
- e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(男女雇用機会均等法)第13条・第14条:第13条:事業主は、求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(求職者等)の求職活動等における性的な言動に起因する問題について、雇用管理上必要な措置を講じる(令和7年改正。令和8年10月1日施行)。第14条:国・事業主・労働者の責務(2026-11-03確認)
この記事は 2026-11-03 時点で公的機関・各社公式ページを確認して書いています。制度や各社の条件は変わることがあるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。体験談・口コミは掲載していません。